耕作放棄地を畑に戻す方法

平成30年12月から始めました。約10年間、耕作されずにいた畑を、落花生が育つ畑に戻そうと考えました

基本的なコンセプト
◎ 初期投資を最小限にする。
 大鎌等の農具を主にして、夏場の草刈りのみ刈払機を使用。
◎ 一人で作業を行うことを基本にする。
 昔ながらの道具を使用することは、筋トレでもあり健康に良いことを大切にする。
 1日に2時間程度で、1日おきで作業を行う。(畑の広さは、約800㎡)

「筋トレ」のつもりで気楽にはじめました。12月なので、はじめは寒かったですが、大鎌で根や茎等を刈っていると、体が温まり汗をかくほどになりました。
1日2時間を目安に、幅2メートル程度で刈っていきました。刈った茎や根、枯れ葉等は、隣に置いておくことにしました。
1年目から、落花生を育てることで「やりがい」が強くなったように思います。
順に説明します。

第1段階 重機を使用しないで、人力だけで、耕作放棄地の木を切り、草を刈り取る

機械を使わないで何とかしたい」という思いで始めました。真冬の作業になりましたが、大鎌を使ったことで体もぽかぽかになりました。全身運動でした。

表面を覆っていたツルなどの置き場所については、畑の外に持ち出すのではなく、写真のように積み重ねていくことにしました。
幅2mの根やツルなどを取り除き、となりに積み重ねました。やがて、枯れて土を豊かにしてくれると考えたからです。
畑にして作物をつくる場所は、幅2mの根やツルなどを取り除いた部分だけでよいと割り切って行いました。
このようにすると、運ぶ出す手間も、処理する手間やお金もかかりません。

耕作放棄地 畑に戻す 土①
表面の木の棒やツルなどを片付けます。
耕作放棄地 畑に戻す②
木の棒やツルなどを取り除いて、種まきができるようにしました。

第2段階 栽培に向けて、土を豊かにします。「緑肥」として、イタリアンライングラスをまきました。

緑肥の種をまきました
化学肥料だけでなく、有機肥料も使用しないで落花生等を育てたいと思いました。イタリアンライングラスの種子をまきました。「緑肥」として、土の栄養分になってほしいと思います。

第3段階 落花生の種を蒔いて、収穫に挑戦します。化学肥料や農薬を使用しないで、安全・安心な落花生を目指します。

落花生の種まきをしました。化学肥料も有機肥料も、農薬も使わないので、収穫量は期待できませんが、安全で安心な落花生を育てたいと考えました。(落花生の栽培については、次のページをご覧ください)https://iijimafarm.xsrv.jp/wp/落花生‥栽培の様子/

第4段階 どんどん生えてくる草を刈って緑肥にすることで、土を豊かにします。夏の草は元気旺盛です。刈って「草マルチ」にして、落花生の栄養にします。

落花生栽培の様子は、次のページをご覧ください。https://iijimafarm.xsrv.jp/wp/%e8%90%bd%e8%8a%b1%e7%94%9f%e2%80%a5%e6%a0%bd%e5%9f%b9%e3%81%ae%e6%a7%98%e5%ad%90/

第5段階 次の年に向けて、土を豊かにします。まだ、落花生の残渣や枯れ草が少ないため、来年の収穫に向けて裸地になりそうな場所に枯れ草等を置きます。

真冬のこの時期(12月28日)なのに、緑が所々にあります。土を少し豊かにしてくれそうです。

はやり、クズの下には、緑は少なかったです。

道路の近くの部分は、まだ、クズが生い茂った状態でした。畑にできなかった場所です。幅2mぐらいです。
クズの蔓や葉を取り去りました。緑の草は生えていませんでした。
やはり、この状態では土の栄養は期待できません。

2年目の2月下旬‥「無肥料でも野菜が育つ」と言われているホトケノザとオオイヌノフグリがたくさん咲いていました。

耕作放棄地だった畑の復活作業を始めて1年と2か月。
ツルや根などを重ねて置いた場所は、高さが低くなり、写真のように、ホトケノザやオオイヌノフグリなどが畑全体に見られていました。
書物等で、無肥料でも野菜が育つ目安になる草として紹介されている草が生えてきました。農薬はもちろん、化学肥料や動物由来の肥料も使用しないで、野菜の残渣と草だけで栽培する今年の自然農法に期待がもてると思います。

第6段階(2年目の春) 種まきに備えて、1年目のクズや草などの残渣を置いた場所を、種が蒔けるようにしました。

当初、ツルや根を重ねて置いた場所も、ほぼ1年で土に戻ったようです。
そこで、2年目には、ツルや根を置いた場所でも、落花生を育ててみることにしました。
なお、右の写真のようにところどころに、ツルや根が残っていました。断ち切るためには、かなりの力が必要でした。(使用した農具は写真のものではなく、根を断ち切ることができるものを使用したのですが)
機械を使用しないため、時間がかかることになりましたが、汗をかきながら「筋トレ」として充実感がもてました。少しずつですが、着実に「畑」になっていくことを実感できました。

2年目、1年目とは違う草が元気に育っています。

この写真は2年目の6月27日に撮影したものです。
下の写真が1年目の6月下旬のものです。畑一面がクズの葉とツルで覆われていて、草刈りが大変だったことを思い出します。2年目になってもクズの勢いは強く、根を断ち切るのに力が必要なので、ちょっと大変でしたが、草の種類が増えてきて、多様になったと感じます。

刈り取った草の置き場所に困るほど、多量の草が「収穫」できました。
私の親の世代では、草が多いことは「困ったこと」だったと思いますが、化学肥料を使用しない私の栽培方法では、草マルチとして地表に積み重ねることで、落花生や野菜の「肥料」になるので、大歓迎なのです。

2年目の畑 クズの葉が少なくなり、多様な草が生えてきています。
1年目の畑 クズの葉で覆われている状態でした。

第7段階 3年目、クズ(葛)の株や茎を取り除きました

落花生を種まきをするときに、クズの根や茎が作業の障害になっていました。取り除こうとしても、草かきでは、なかなか断ち切れませんでした。

そこで、収穫を終えた12月に、時間をかけてじっくり作業しました。下の写真は2時間ほどの作業での成果です。鍬を使用すると、鍬の重みと頑丈な刃のおかげで、スムーズに作業がすすみました。昔からある農具の価値を実感しました。

昔からある農具 鍬

まとめとして

○ 1年目に掘り出した根やツルを積み上げた部分も、2年目には、ほぼ野菜等を栽培できる「畑」にすることができました。
○ 労力としては、1日2時間程度で、週に2回ぐらいでした。退職後の身にとって、筋トレのつもりで楽しくできたと思います。
○ トラクターや重機は使用しないで、刈払機のみの使用で、大鎌など昔ながらの道具を使用し、手作業で行いました。